SKIN MICROBIOME

体臭に関連する菌20種と、その特徴

かいた直後の汗は、多くの場合ほぼ無臭です。皮膚の菌が汗や皮脂に含まれる無臭の成分を分解し、脂肪酸やチオアルコールなどへ変えることで、腋臭・足臭・皮脂臭が生まれます。

このページの見方:「臭気産生」は臭気成分または臭気を伴う疾患との関係が比較的明確な菌、「関連菌」は皮膚菌叢での相関・検出や揮発成分の産生が報告された菌です。皮膚常在菌は健康な皮膚にも普通に存在します。

体臭に関連する菌一覧

菌名を選ぶと、生息部位・関連する臭気・特徴を開いて確認できます。

コリネバクテリウム・ストリアタム(Corynebacterium striatum)

分類:臭気産生

主な生息部位:腋窩など湿った皮膚

関連する臭気:分岐脂肪酸、チオアルコール系の腋臭

特徴:腋臭の無臭前駆体を強い臭気物質へ変換する酵素を持つ、代表的な体臭関連菌です。

コリネバクテリウム・ジェイキウム(Corynebacterium jeikeium)

分類:臭気産生

主な生息部位:腋窩、鼠径部など湿潤部位

関連する臭気:脂肪酸系の酸っぱい・脂っぽい臭い

特徴:脂質を好むコリネ型細菌。培養研究で腋の臭気性揮発物への関与が示されています。

コリネバクテリウム・ツベルクロステアリカム(Corynebacterium tuberculostearicum)

分類:関連菌

主な生息部位:腋窩、皮脂の多い皮膚

関連する臭気:酸味・スパイシー系腋臭との相関

特徴:腋窩菌叢研究で、特定の臭い評価と正の相関を示した菌です。

コリネバクテリウム・ムシファシエンス(Corynebacterium mucifaciens)

分類:関連菌

主な生息部位:腋窩、皮膚表面

関連する臭気:コリネ型細菌優位の強い腋臭との関連

特徴:人の腋から分離されるコリネバクテリウムの一種。菌量と臭いの関係が研究されています。

コリネバクテリウム・キセローシス(Corynebacterium xerosis)

分類:臭気産生

主な生息部位:腋窩、皮膚

関連する臭気:典型的な腋臭

特徴:古典的な培養研究で、腋抽出物から明確な臭気を生じた好気性コリネ型細菌です。

コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)

分類:臭気産生

主な生息部位:腋毛、陰毛

関連する臭気:汗臭・腋臭

特徴:腋毛に黄白色の付着物をつくるトリコバクテリオーシスの代表菌。旧文献ではC. tenuisとも表記されます。

スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)

分類:臭気産生

主な生息部位:腋窩など湿った皮膚

関連する臭気:3M3SHなど硫黄系チオアルコール

特徴:無臭の汗前駆体を“タマネギ様”とも表現される強い臭気へ変える酵素を持ちます。

スタフィロコッカス・ヘモリティカス(Staphylococcus haemolyticus)

分類:臭気産生

主な生息部位:腋窩、湿った皮膚

関連する臭気:皮膚由来の揮発性成分

特徴:腋臭性揮発物の産生に関与する菌として培養研究で報告されています。

スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis/表皮ブドウ球菌)

分類:関連菌

主な生息部位:全身の皮膚、腋、足

関連する臭気:短鎖脂肪酸系の汗臭・足臭

特徴:代表的な皮膚常在菌。通常は皮膚を守る側面もあり、菌量や他菌との組み合わせで臭いへの影響が変わります。

スタフィロコッカス・コーニイ(Staphylococcus cohnii)

分類:揮発成分

主な生息部位:皮膚表面

関連する臭気:3-メチル-1-ブタノール

特徴:人の皮膚分離株が、発酵臭・刺激臭を持つアルコール類を産生した研究があります。

ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus/黄色微球菌)

分類:揮発成分

主な生息部位:皮膚、腋窩

関連する臭気:ノナナール、ゲラニルアセトンなど

特徴:皮膚常在菌の一種。複数の皮膚揮発成分を産生しますが、強い悪臭の主因とは限りません。

ミクロコッカス・エンドフィティカス(Micrococcus endophyticus)

分類:揮発成分

主な生息部位:皮膚表面から分離

関連する臭気:ノナナール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン

特徴:皮膚分離株が多種類の揮発成分をつくったとの報告があります。悪臭への寄与度は研究途上です。

ミクロバクテリウム・サッカロフィラム(Microbacterium saccharophilum)

分類:揮発成分

主な生息部位:皮膚表面から分離

関連する臭気:3-メチル-1-ブタノール

特徴:培養下で発酵様の揮発性アルコールを比較的多く産生した皮膚分離菌です。

ロゼオモナス・ムコーサ(Roseomonas mucosa)

分類:揮発成分

主な生息部位:皮膚表面

関連する臭気:ノナナールなどのアルデヒド

特徴:人の皮膚に存在し、揮発性アルデヒドを産生する株が報告されています。

キトコッカス・セデンタリウス(Kytococcus sedentarius)

分類:臭気産生

主な生息部位:足裏、とくに蒸れた荷重部

関連する臭気:強い硫黄系の足臭

特徴:足裏に小さな穴が多数できる点状角質融解症の代表菌。角質を分解する酵素も産生します。

デルマトフィルス・コンゴレンシス(Dermatophilus congolensis)

分類:関連菌

主な生息部位:湿った角質、足裏

関連する臭気:点状角質融解症に伴う足臭

特徴:点状角質融解症への関与が報告される菌のひとつですが、人での主因はK. sedentariusなどが中心です。

ブレビバクテリウム・エピデルミディス(Brevibacterium epidermidis)

分類:臭気産生

主な生息部位:足指間、湿った皮膚

関連する臭気:イソ吉草酸などチーズ様の足臭

特徴:皮膚のアミノ酸を分解して脂肪酸をつくり、蒸れた足特有の臭いに関与します。

キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes/アクネ菌)

分類:関連菌

主な生息部位:毛穴、皮脂腺の多い顔・頭皮・背中

関連する臭気:プロピオン酸など酸っぱい皮脂臭

特徴:旧名Propionibacterium acnes。皮脂を分解して脂肪酸をつくりますが、腋臭との相関は弱い場合があります。

アナエロコッカス属菌(Anaerococcus spp.)

分類:関連菌

主な生息部位:腋窩、鼠径部など酸素の少ない湿潤部

関連する臭気:酸味・スパイシー系の腋臭との相関

特徴:グラム陽性嫌気性球菌。腋窩菌叢研究で男性に多く、一部の臭い評価と正の相関を示しました。

ペプトニフィラス属菌(Peptoniphilus spp.)

分類:関連菌

主な生息部位:腋窩、鼠径部など湿った皮膚

関連する臭気:嫌気性代謝による脂肪酸・腐敗系臭気の可能性

特徴:腋のメタゲノム研究で検出される嫌気性球菌群。体臭への直接的寄与はまだ十分に確定していません。


参考文献

本ページは一般向け情報であり、診断を目的としたものではありません。急な臭いの変化、皮膚の赤み・痛み、足裏の穴やただれがある場合は皮膚科などへ相談してください。